自分だけにできること

私は幼い頃は自分のことが好きではなかった。
事あるごとに、他の人のことを羨んだ。
違う人になりたいと思い、違う人の人生を送りたいと思った。

例えば、私は内向的で人見知りな性格だったので、仲良くなりたい、たくさん話したいと思ってもそれがなかなかできず、社交的な友人を羨んだ。
彼女になれれば毎日楽しいだろうと思った。
それ以外にも例えば、運動音痴だから、運動神経の良いクラスメイトになりたいと思うこともあった。
体育の時間が苦痛で、特に団体競技においてはいくら頑張っても足を引っ張ってしまい、悪口を言われることもしばしばあったのだ。
私はいつも自分を認めず、他の人ばかりを羨ましく、自分よりも優れたものに思っていた。
その考えが変わり始めたのはいつ頃だっただろうか。
もう今では自分を否定してばかりではない。
確かに美人な人や素晴らしい特技を持っている人、やりがいのある仕事をしている人を見ると「いいな」「すごいな」とは思う。
しかし、だからといって自分を完全に否定することはない。
自分には未熟な点がたくさんあるし、苦手なこともできないこともたくさんある。
それでも、それが自分なのだ。
否定してはいけない。
いくら努力しても無理なことはある。
誰かの人生を送りたいと思ってもそれは不可能なことだ。
私は私の人生しか送れない。
でもそれは、私にしかできないことなのだ。
私の人生は私しか楽しむことができない。
できないことがたくさんあっても、人より劣っていることがたくさんあっても、私なりに精一杯努力して、私なりに人生を楽しむこと、それが大切なんだと思う。
そしていつの日にか、私はこんなに楽しい人生を送ってきたんだよと胸を張って言いたい。