書店を巡る

子供の頃から本屋さんという場所に行くのが大好きで、今では書店巡りが趣味となっている。
本を買うならどこだって同じだろう、と思われるかもしれないが、これが意外とそれぞれの書店で色が違っていて面白いのだ。

もちろん売れる本や人気作家の新刊はどこの書店にだってもれなく置いている。
しかし、広さの違い、推している本の違い、得意な分野の違いなどは様々ある。
本屋で働いていたこともあって、担当している人の違いで棚にも個性が出るということも知った。
ぱっと見て分かる個性に手書きPOPなどもあるだろう。
個人的にあれを作るのは得意ではなかったのだが、見て回るのは楽しい。
思わずそのPOPにつられて、買う予定ではなかった本をお買い上げしてしまうこともよくあることだ。
ほかには、どこに個性が出るかと言えば、いわゆる新刊の台や平積みにされている売れ筋の話題本などではなく、ある書店にはあると思うのだが「担当のおすすめ」棚である。
私がよく行く書店ひとつには、某有名少年マンガ雑誌で不人気故に打ち切りにあい、全2、3巻で終わったマンガ作品たちが堂々と「担当のおすすめです!」というPOPと共に軒並み並んでいたりする。
また違う書店では、ある創作ユニットのファンなのか何なのか、その人たちが出した本を一カ所に集めてユニット名の入ったPOPを張り、お店に入ってすぐの目立つ場所に置いてあったりした。
ほかにも、児童書や絵本に強い本屋さんや、芸術書の品揃えがマニアックな本屋さんなど、自分で足を運んで見ると本屋とひとくくりにするには、それぞれに個性が強いということが分かる。
今やネット書店の方が便利で、本屋に足を運ばなくなった人も多いと思う。
けれど、ネット書店では自分の目的がはっきりしていて、偶然というものがない気がするのだ。
リアル書店に足を運び、店内をふらついていると意外な本との出会いがある。
それが偶然にも自分にはまったりすることもある。
だから、私は書店巡りをやめられない。