福岡城の中の櫓を見にいくとき、迷子になり汗をいっぱいかいた。
地図を確認して城の敷地に入ったが、城の中ではスマートフォンの地図アプリもあまり意味が無い。
入ってすぐだろうと思っていたが、甘かった。
蓮が咲く堀にかかる橋を渡って中に入ると、都会の喧噪とは全く違う、ひっそりとした空気。
あまり整備がされていない入り口から入ったもので、気がついたら道が無い所に来ていた。
そこには、驚くほど大きなカラスや猫、雀がいた。
間違えて入ってきた人間の私を見ても動じない所は、街中にいるものたちとは全然違う。
ゴミ捨て場の近くで虎視眈々と餌を狙うカラスではなく、涼しい樹の下ですずんでいる様子であったし、雀と猫が近くでくつろいでいた。
でも明らかに人間が入るエリアではないので、ちょっとだけ引き返して、本線に戻った。
目的地の櫓がすぐ頭上に見えている。
下から眺めると、あらためて石垣の高さに感心する。
この道を右に曲がったら入り口だ!と思ってからが、迷子の始まりだった。
右に曲がってみると、そこは櫓の入り口ではなかったし、三叉路になっていた。
しかし、右にまた曲がって、さらに道が分かれていた。
ついに、自分が来た方角や向いている方角、目的地の方角が分からなくなってしまった。
南側に行けばいいので空を見上げてみると、時刻は14時前。
ちょうど太陽が真上に来ているときだった。
いよいよ北も東も分からなくなってようやく、「こちらです」と看板が立ててあった。
簡易的に紙をラミネートして作られた道案内の立て看板を見て、文明を久々見た気がしてホッとした。
結局迷いに迷って、5分もかからず到着できると思っていたのに、10分以上かかってしまった。
当たり前だが、城は部外者がやすやすと上がってこれないように造ってあるが、まさに私は部外者で、まんまと迷子になってしまったなぁと思った。