目に見えない健康

健康優良児と言われた私が生活の全てを健康に関わる対象として捉えるようになって分かったことは、「認識」されていなかった世界があるということだ。
例えば、あなたはカビに対するアレルギーを持っているだろうか。
持っていないのであればきっとカビは黒い、汚い物質というくらいのものだろう。

カビが生える理由やその前段階で湿度をどのように管理するかということを強く意識したことがあまりないかもしれない。
湿度は目に見えない。
目に見えないものは意識されないから、常に応対するような対象ではないだろう。
手を洗うという基本的なことだってそうだ。
手に付いた菌が気になるようになってしまった場合、特に外ではあらゆるものに触れないし、触ってしまったら手を洗うまではその手で顔や身体を触れることができないのだ。
手を拭くタオルにも菌が存在するから、人の家のものは使えない。
なるべくティッシュで拭き取るようになる。
特に男はそうなのだが、身体が強くできている分、脅威として捉えるものが少なく見えていないものが多い。
女性が気にする紫外線、つまり太陽の光だが、男の場合死ぬまで全く気にせず生きている人もいる。
そういうタイプの人間には紫外線は認識されていない。
私は若くして、女性以上に身体の健康や肌のことなどを考えるようになってしまったから、周りとの感覚の違いにかなり生きづらい思いもしたが、女性がどんなところを気にしているのかということに気付けたということは1つ良かった点であろう。
幼い頃、やんちゃな子供だった私と化粧水など肌ケアの商品について話をする日がくるとは母親も思っていなかっただろう。

年に一度の健康診断

自営業をしている私は、国民健康保険に加入している。
会社に属している人は健康診断が年に一回あると思うが、国保の人は自分で申し込みをしないと受けられない。

自治体によっては無料検診を実施するところもあるようだ。
まだいいかと思っていたが、若いうちから色々と調べていた方がいいと勧められ、今年初めて健康診断に行った。
病院ではなく、市の施設に申し込んだため、健康診断と運動量診断、そして保健指導をやってもとても安価な申込金で済んだ。

血圧や心電図など様々な診断があるが、採血が何よりも嫌いな私はその診断のことを考えると頭が痛くなった。
椅子に座って流れ作業のように行われる採血だが、寝た状態でお願いした。
そうでないと、血を採ったあとに椅子から立ち上がると頭がクラクラするからだ。
ベッドに横になっていると看護士さんが採血セットを持ってきた。

その注射針を見た途端、血圧が一気に下がってしまい、針をさしてもなかなか血が採れなくなった。
大の大人なのに情けないと思う。
しかし、そのように注射針を見たり、白衣を見ると血圧が下がる人は結構いるそうだ。
私だけではないと思うと安心した。
何かトラウマとなるようなことがあったのかは記憶にないのだが。

刷り込みによって身体が反応するようになっているのかも知れない。
厄介な身体になったものである。